美女が俺を競り落としてくる話
白黒漫画シリーズのナンセンスコメディ。「お金出すから私の彼氏役になってよ」の3万円から始まった提案が、前代未聞の争奪戦に発展します。
あとがき
ページをめくったら競売会場——あの展開の暴力的な速さ、笑っていただけたでしょうか。この話は「日常会話が2ページで別世界に到達する」加速力だけを追求した短編です。1ページ目、ピースサイン付きの「3万円出すからさ!」に対して「ぐ……3万か………なら まあ……」と一瞬で揺らぐ彼の情けなさ。ここで彼の器を先に描いておいたことで、そのあとの暴騰が全部ギャグとして効いてきます。そして乱入する「なら私5万」「待ってうち10万」。ページをめくれば、スポットライトの会場、ガベルを構える競売人、椅子にロープで固定された主人公という完成された構図が待っている、という寸法です。集中線と黒の飛沫が飛び交うあの画面は、白黒漫画の中でも指折りのモノクロ映えとして自信作でした。最終入札に付いてきたあの「セット」、そしてすべてが終わった後の、彼の目から光が消えた顔。幸せなのか不幸なのか本人にも分かっていないあの表情で締めるのが、この話の着地として一番しっくり来ると考えた結果です。ところで読み終わったみなさんに聞いてみたいのですが——あなたが彼の立場なら、いくらで頷いていましたか。正直な金額をコメント欄でお待ちしています。3万で揺らいだ彼を笑えない金額でも大丈夫です。


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