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ボツの館 ボツ1話:非モテインキャの俺。馬鹿にされるのが嫌でイメチェンした結果モテモテになったんだが、唯一優しかったクラス1の美少女がなぜか冷たくなってしまった件

ボツ1話

最近、俺の友人に彼女ができた。

「いやー!やっぱ恋人っていいよなぁ!毎日がさぁー、ハッピーライフっていうかさぁ!」(友人)
「…」(オキタ)
「かーっ!この幸せをわけてあげてえわあ!目の前の幸薄そうな男にもさぁ!」(友人)
「…」
「まぁでも無理かぁ!!お前、モテねえもんなぁ!!」
「なんだてめえこら殴るぞ」(オキタ)
「うわ、怖い。やっぱアレだな。幸せ成分が足りてないから、怒りっぽくなってんだろうな」
「ちげえよ。お前が俺に怒り成分をダイレクト注入してるせいだよ」

…ご覧の通り。ここのところ、浮かれっぱなしのこいつの惚気話を聞かされてばかりである。非常にうざい。

そうでなくても、高校生にもなると周辺ではいつの間にかカップルが出来上がっていたりしてムカつくって言うのに。
なんだよ急に、どいつもこいつも色気付きやがって。中学の時までは全然そんなことなかったのにこんちくしょう。

「…ふん。彼女ができたくらいで良くそんなはしゃげるよな」(オキタ)
「そりゃあ、出来ない奴にはわからんよな」
「まつ毛引っこ抜いたろかオイ」

※ ※ ※

(廊下を歩いているオキタ)

「はぁ…」(オキタ)

昼休み。
俺は購買で買ったパンを片手に屋上へ。

なぜ屋上かって?
一人になりたいからだよ。
教室で食べようものなら、またアイツの惚気話を聞かされるかもしれないしな。

「………というか、これで俺の友人グループ全員彼女出来たことになるのか」(オキタ)

6人もいる中で、取り残されたのは俺だけ。
流石は小学校から中学までの9年間、親から以外バレンタインチョコをもらったことがない生粋の非モテなだけある。

ちなみに、最後の3年間は親すらくれなかった。
きっと、俺にバレンタインの存在を少しでも感じさせないための配慮だったのだろう。母の愛とは偉大だ。

「…ん?」(オキタ。何かに気づく)
「………」(ネム。本を運びすぎて、目の前が見えなくなっている)

あれ?あそこにいるのは確か――

「………」(ネム。ひたすら直進)
「………えぇっと」(オキタ)

…あいつ、このまま直進したら壁にぶつかるけど。

「わっ」(ネム)

あ、ぶつかった。

「………」(ネム。壁にめり込んでいく)

うわっ。しかもなんかそのまま進もうとしてるっ。

「…鎌倉」(オキタ)
「あ、その声は朝倉くんだね?やっほー!」(ネム)
「やっほーじゃないよ。なにやってんのさ」
「何って見ての通りだよ。本を運んでるの」
「…」
「でもなんかさっきから全然前に進まなくて…。んーっ」
「アクションゲームのNPCみたいなことしてるね、君」

現実世界で壁にはまるやつがいるか。

「全く…、ほら」(オキタ。本を半分持ってやる)
「あっ、ありがとう。…って、うわ!?目の前に壁が!?」(ネム)
「うわ、じゃないよ。その反応に俺がうわ、だよ」
「確かにさっきから全然前に進まないなぁとは思ってたけど、道理で…」
「その鈍感さでよく今日まで普通に生きてこれたな」

交通事故に30回くらい合っててもおかしくないレベルだぞ。

「ホントだよ。今後も私が死なないようにちゃんとサポートお願いね、朝倉くん」
「その若さで老後の介護レベルの手厚いサポートをいち友人に期待するな」

――鎌倉 ネム。

高校になってから知り合った、俺のクラスメイト。
俺とは席が隣ということもあって、そこそこ仲がいい。

…というか、この時点で分かる通りかなりの変人なので、俺以外の人間と仲良くしているところを見たことがない。

「…この本、また図書室から借りてきたのか?」(オキタ)
「うん!」
「もっと少しずつ借りればいいのに…」

教室までならまだしも、この量を一体どうやって家に持って帰る気だ。

「はぁ…、しょうがない。帰る時は俺に声かけろよ」(オキタ)
「? なんで?」
「こんな大量な本、1人で持って帰れるわけないだろ。俺も家まで一緒に持つよ」
「…」
「なにさ?」
「…いや。相変わらず朝倉くんは優しいな、って思って」(ネム)
「別にそんなことねーよ。帰る方向、元々一緒だし」
「ううん、優しいよ。こんな私に、こうして気を遣ってくれるのは朝倉くんだけ」
「…」(オキタ)

それを言うなら。

俺とこうして普通に話してくれる女友達も、鎌倉くらいだけどな。

「ふふっ。その調子で、今後とも私の介護よろしくお願いします」(ネム)
「だからお願いするなって」

あと介護って言うな。

※ ※ ※

(廊下を2人で歩いている)

「…なるほどねぇ」(ネム)
「もしかしたら俺は、このままじゃまずいのかもしれない」(オキタ)

彼女の本を半分持って歩きながら、俺は自分が一向にモテないことについて話していた。

今までは自分の非モテに関してそこまで危機感を覚えていなかったが、流石に自分の周辺全員に彼女ができて俺だけ出来ていないとなると、自分が異常者なんじゃないかと不安にもなる。

「…うぅーん、別に朝倉くんはそのままでも問題ないと思うけど」(ネム)
「いや、まずい!」
「…そうかなぁ」
「やっぱり俺も、少しはモテる努力をした方がいい気がする」
「…む。朝倉くんは女の子にモテたいの?」
「そりゃな」
「…ふぅーん」

というか、もういい加減友人にマウントとられないようになりたい。これ以上の劣等感はごめんだ。

「今まで女友達すらロクにいなかったしな。せめて普通に女の子と仲良くなれる、一般的な男子になれればと」(オキタ)
「…」(ネム、ジト目)
「だって鎌倉くらいだぜ?俺と仲良くしてくれる女子なんて。別にそれが不満なわけじゃないんだけどさ」
「………私だけでいいのに」(ぼそっと)
「ん?なんか言ったか?」
「べっつにー。ふんっ」(そっぽむく)

…あれ?なんか怒ってる?

「一体俺の何がそんなにダメなんだか…。友人たちからは『お前は見るからにモテなさそう』っていつも言われるし…」
「モテなそうって…、そんなことないよ、朝倉くん!」(ネム)
「え?」
「確かに朝倉くんは、別に勉強ができるわけでもないし、運動能力も並以下で、スタイルも別にいい方ではない上に、若干いつも猫背だから余計に悪く見えるし、髪型もボサボサなことが多くてだらしなく見えるのと、前に私服を見た時に隣を歩くのちょっと恥ずかしいなって思うくらいセンスがなかったりはしたけど」
「………」
「そのままでも全然大丈夫!!朝倉くんはすごい素敵だよ!!!」
「…フォローになってないんだが??」

そんなことありまくりじゃねえか、おい。

…いや、でも待てよ。
なら、彼女が今言ったようなことを全部改善すれば、そこそこまともな男になれるってことだよな?

そうすればきっと、女子とも普通に関わりを持てるようになるし、友人たちに置いてけぼりにされることもなくなる――………よしっ。

「決めた」(オキタ)
「へ?」
「俺は変わるぜ、鎌倉!1ヶ月で今までの自分から生まれ変わってみせる!」

「そして――、女の子にモテモテの男になるんだ!!」(オキタ)
「………まぁ、君がそうしたいなら私は止めないけど」(ネム。つまんなそうに)

※ ※ ※

――そんなわけで。

(図書室にて)

「えっ…、朝倉くん?」(ネム。めちゃくちゃ本を持ってる)
「よお、鎌倉」

俺はその日から早速、自分改革を始めることにした。

「すごい。朝倉くんが図書室にいるだけでも珍しいのに、しかも勉強してるなんて」
「おうよ。ま、学年1位とまでいかなくても、なんとか上位に食い込めるくらいにはなろうって思ってな」(オキタ)
「…それもまたモテるため?」(ネム)
「当然!」
「…別に九九くらい出来なくても、多少生活に支障があるくらいで、かろうじて生きていけるのに」
「おい、待て。君の中で俺は九九すら出来ない設定だったんか」
「しちろく?」
「42」
「おー、ちゃんと成長してる」
「元々だコラ」

放課後は毎日1時間、必ず図書室で勉強し――

※ ※ ※

(外でジョギングしているオキタ)

「あっ、朝倉くん」(ネム)
「おぉ、鎌倉。奇遇だな」(オキタ)
「どうしたの。そんなに走って」
「あぁ、見ての通りジョギング中――」
「…ちゃんと自首した方が罪は軽くなるよ?」
「逃走中じゃねえわ」

休日は必ず10キロ走ることを自分に課し――

※ ※ ※

(床屋にて)

「はい。こちらで仕上がりです」(男)
「ありがとうございます」(オキタ)
「ワックスは?つけていかれます?」
「あ、はい!ばっちばちに決めてください!!」
「わかりました!お兄さん、もしかしてこれからデートか何かですか?」
「いえ。直帰します」

人生で初めて髪をワックスで整えるという体験をし――

※ ※ ※

そして1ヶ月後――。
遂に…、俺は生まれ変わった。

「ふっふっふ…。どうだ、鎌倉!」(オキタ。かっこEバージョン)
「うわぁ」(ネム)
「この1ヶ月で、ちょっとはかっこよくなったと思わないか!?な!?」
「………別に、私は前のままでいいって言ったのに。なんかいい匂いまでするし」

「…まぁ、でも。確かにかっこよくなったといえばかっこよくなったかも――」(ネム)
「なんか最近さー!朝倉くん、かっこよくなったよねー!」(女子)
「うんうん、見違えたー!」(女子B)
「!?」(ネム)
「あ、噂をすれば」
「おっはよー、朝倉くん!」
「あ、あぁ、おはよう」(オキタ)
「ね、今度一緒にお昼食べない?思えばクラスメイトなのに、全然話したことなかったし!」
「いいねー!その時は私も一緒に行く!」
「お、おぉ…!?」

す、すごい…!今までただの一度も女子の方から話しかけられることなんてなかったのに…!
挨拶だけじゃなくて、お昼の誘いまで受けるとは…!!

恐るべし…、自分改革…!

「わ、わかった…。お、俺でよければ…」(オキタ)
「やったー!約束だよ?」
「じゃ、朝倉くん!また後でねー!」
「う、うん。また後で…」

(2人が去った後)

「ふぅ…。見たか、鎌倉!これが今の俺の実力――」(オキタ)
「………」(横目ジト目+殺気を感じるオーラ)
「ひぃっ」

な、なんかすごい怒ってませんか、この人!?

「そ、それで、どうだよ?お前もかっこよくなったって思う――」(オキタ)
「思わない」
「え」
「むしろ、見るに耐えないくらい醜くなった」
「えぇっ!?」
「それじゃ」
「ちょ、おい!?鎌倉!?」
「ふん…。なによ、浮かれちゃって…。馬鹿」(ネム)

(去っていく鎌倉)

「…あれぇ?」(オキタ)

お、おかしいな…。
他の女子の反応はよくなったのに、なんであいつだけ…?
むしろ、あいつが指摘していた項目を改善した結果、こうなっているのに。

「うーん…」(オキタ)

ダメだ。考えても、さっぱりわからん。
モテるって、難しい。

※ ※ ※

(教室。座っているオキタに話しかけている女子たち。それを片手で頬膝ついて、少し頬を膨らませて、横目でジト目で見ているネム)

「ねえねえ、朝倉くんって趣味とかないの?」(女子)
「カラオケとかって行く?好きなアーティストは?」(女子B)
「あー、俺は…そのぉ…」(オキタ)
「…」(ネム)

うおぉ…!
やばい。今までこうして女子とキャッキャ話したことなんてないから、どういう話をすれば女子ウケがいいのかさっぱりわからん!

頼む…!助けてくれ、鎌倉…!!今はお前の力が必要――

(チラッとネムの方を見るオキタ)

「!」(ネム)

「…ぷいっ」(そっぽむくネム)

おぉぉぉぉいっ!!

(時間経過)

「じゃ、朝倉くん!また後で!」(女子)
「う、うん…」(オキタ)

(2人が居なくなる)

「…はぁ」(オキタ)
「…」
「………裏切り者」
「なっ!?」(ネム)
「だってそうだろ。困ってる俺のこと見捨てやがって」(オキタ)
「べ、別に見捨ててないもん。大体、女の子に囲まれるのは朝倉くんの念願でしょ?」
「そ、そりゃそうだけど…」
「だったら困ることなんてないはずだよ。思う存分満喫すればいいじゃん」
「うーん…」
「? なに?」
「いや、確かにお前の言う通りなんだけどさ…」

なんだろうなぁ…。

全然、楽しくないんだよな、なぜか…。

正直、こうやって鎌倉と話している方が何倍も気楽で、居心地がいいって言うか――

………あれ?

そもそも、俺って本当に女子にモテたいのか…??

「…変なの。ま、いいや。私は本を読むから。話しかけないでね」(ネム。本を取り出す)
「お、おう…」(オキタ)

「………はぁ」(ネム。本を読みながら小声)
「………さっさと飽きられればいいのに。もう」
「鎌倉?」(オキタ)
「なに?話しかけないでって言った――」
「本、逆さまだぞ」
「ふわぁっ!?」

※ ※ ※

そして昼休み。

「朝倉くーん!約束通り、ご飯食べよー!」(女子)
「学食でいい?私たち、いつも座っている席あるからー」(女子B)
「あ、あぁ、俺は…」(オキタ。チラッと隣の席のネムを見る)
「…ぷいっ」(ネム。そっぽむく)
「あ、あの…、よかったら、もう1人誘ってもいいかな?」(オキタ)
「!!」(ネム)
「え?もちろんいいけど」(女子)
「そ、そっか!じゃあ、鎌倉!よかったらお前も――」(オキタ)

(既に空席になってる)

「あれぇっ!?」(オキタ)

さっきまでここにいたのに!?

「それで?どの子を誘うの?」(女子B)
「えーっと…」(オキタ)
「朝倉くん?どうした?」(女子)
「い、いや………」(オキタ)

「なんでもない…。やっぱり3人で食べようか」(オキタ)
「りょーかーい!いこいこー!」(女子)

はぁ………。

観念…するしかないか…。

※ ※ ※

(学食)

「それでさー、カナコったらその時にねー」(女子)
「あーっ!その話は別にしなくてもいいじゃん!」(女子B)
「はは…、ははは…」

…いかん。
ダメだ。話の内容が全く入ってこない。
こうやって、曖昧に相槌を打つのが精一杯だ。

理由はわかってる。
彼女たちのことを良く知らないとか、彼女たちの話が全然面白くないとか、そもそもどんな話をしていいのかわからないとか。
上げればキリがないくらいに色々あるが、一番の理由は間違いなく――

「…」(ネム。一つ離れた席で本を片手に、ちらっちらとこちらを見ている)

…彼女である。

俺たちが学食で食事を摂りはじめてからほんの数分。何食わぬ顔して現れた彼女は、そのまま俺を見つけると隣へ着席。

そして食券も買いにいかないまま、こうしてずーーーっと本越しにこちらの様子を伺っている。

いや…、なんで???
なんでそこに座ってる…???

この子は一体何が目的なんだ…???

「ねー、朝倉くんはどう思う?」(女子)
「そうそう!朝倉くんの意見も聞かせて!」(女子B)
「えーっと…その…」(オキタ。チラッとネムを見る)
「…じーっ」(ネム)

…怖い。

※ ※ ※

――放課後。

「…」(帰り支度してるネム)

結局、この時間まで鎌倉とはまともに話せずじまい。

彼女がなんで機嫌悪いのかもわからないままだし、せめて帰りくらいは――

「なぁ、鎌く――」(オキタ)
「朝倉くーん!」(女子)
「!」(オキタ)
「ね、今日さー、一緒にカラオケよってかない?」(女子B)
「いいでしょー?3人で!他に誘いたい人いたら、誘ってもいいし!」(女子)
「…えっと」(オキタ)
「…」(ネム。席を立とうとする)
「!」(オキタ)
「あ、勿論、カラオケじゃなくて別のところでもいいよー!どこか行きたいところがあれば――」(女子)
「ご、ごめん!」(オキタ)

「俺さ、今日は一緒に帰りたい奴がいるんだ」(オキタ)
「!」(ネム。背中向けたまま聞いて反応)
「そうなの?」(女子)
「うん。だからせっかく誘ってくれたのに、申し訳ないけど…」
「いいよ、別に!気にしないで!」(女子B)
「あ、ありがとう!それじゃ!」

※ ※ ※

(廊下)

「鎌倉!」(オキタ)
「………」(ネム)
「待てよ!一緒に帰ろうぜ!」
「い、いいよ!私は1人で帰るから!」
「なんでだよ!いつも一緒に帰ってるじゃねえか!なんで今日になって急に!」
「そ、そんなの私の勝手でしょ!朝倉くんこそ――」(ネム。ちょっと振り返る)

(ネムの腕を掴むオキタ)

「追いついた」(オキタ)
「…っ!」(ネム)
「昼休みは逃げられたからな。もう、逃さないぞ」
「な、なんで…」
「?」
「なんで…、わざわざ私を。誘ってた女子たちがいたんだから、その子たちと帰ればいいのに」

「こうしてあなたを避けてる私と帰ろうなんて、どうかして――」(ネム)
「あ、やっぱり避けてたんだな!」(オキタ)
「うぐっ」
「どうしてだよ!今まではむしろ、他の女子たちに避けられて、鎌倉だけが寄ってきてくれてたのに!」
「な、なんでもいいでしょ、そんなの」
「よくない!俺は鎌倉といるのが楽しいんだ!」
「!」
「他のやつに馬鹿にされるのが嫌で、こうしてイメチェンしてみたけどさ、わかったんだよ。結局、自分が好きな人以外にモテても楽しくないって」
「す、好きな人って………。朝倉くん、好きな人いるの…?」
「うん。いた。気づかなかったけど」
「それって――」
「ん」(指差すオキタ)
「え」
「君」
「ひぅっ!?」(顔真っ赤なネム)
「だから!なんで避けてるのか教えてくれよ!!俺のイメチェンが気に食わなかったなら、鎌倉が気にいるように変えるから――」
「い、言った…」
「へ?」
「言ったもん…。私…」

「………朝倉くんは、今のままでいいって。十分素敵だよって………。私、言った…」(目を逸らしながら、顔真っ赤なネム)
「………」(オキタ)
「………なに?」
「だ、だって、鎌倉…、散々俺のダメなところ挙げてたのに――」
「い、いいの!ダメなところも含めて好きなの、私は!」

「全然飾ってなくて、自分を良くみせようともしない朝倉くんが良い。人に親切なくせに、全然親切を働いている自覚すらない、そんな朝倉くんの優しさが、私は好きなの」(ネム)
「…」
「…ついでに、他の人に全然モテなくて、私が独り占めできる朝倉くんが好きだった」
「………じゃあ、鎌倉が機嫌悪かったのって」(オキタ)
「…うん。嫉妬してただけ」

…なんてこった。

「…」(オキタ)
「…」(ネム)
「…帰るか、鎌倉」
「…うん」

…馬鹿だな、俺は。

結局、望むものは一番近くにあったのに、わざわざ遠回りして。

そして遠回りしないと、それが近くにあったことにも気づかなかったんだから。

「ところでさ」(オキタ)
「ん?」(ネム)
「俺、髪型とか色々前のに戻した方がいいかな」
「…別にそのままでいいよ。かっこよくはなってる。でも――」

(オキタの手を握るネム)

「もう、他の人と仲良くしちゃ、嫌」(ネム)

※ ※ ※

(オマケ)

「やぁー!やっぱ彼女がいるっていいよなぁ!!毎日がさぁ、ハッピーライフっていうかさぁ!!」(オキタ)
「………あの」(男)
「ん?」
「俺、最近彼女に振られたばかりなんで勘弁してもらえると」

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