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『死神少女』をもっと深く — 3人の死神から読み解く、死神たちの世界

サルベド漫画 読み物

『死神少女』をもっと深く — 3人の死神から読み解く、死神たちの世界

※この記事は『死神少女』第8話までの内容に触れています。未読の方は、先に本編をお楽しみください。

死神は、一人じゃなかった

第8話で明かされる、この物語最大の世界観拡張——それは「死神は一人ではない」ということ。死の匂いを持つ人間がこの世にたくさんいるように、死神もまた、たくさん存在しています。

そして第8話では、主人公の死神のほかに2人の死神が登場し、三者三様の「死神としての生き方」がぶつかり合います。この記事では、3人の死神を通して『死神少女』の世界のルールと、この物語が本当に描いているものを読み解きます。

ユーリ — 「時間の長さより中身」を選んだ死神

私たちがずっと「死神」「しーちゃん」と呼んできた主人公に、名前があったことも第8話で判明します。彼女の名は、ユーリ。仲間の死神に名前を呼ばれた彼女が「名前で呼ばれたの久々すぎて、一瞬誰のことかと思いました」とこぼす場面は、彼女がどれだけ長い間ひとりで寿命を集めてきたかを静かに物語ります。

かつてのユーリは、得た時間の使い道も考えず、ただ寿命を集めて長生きすることだけを目的に生きていました。それを変えたのが、ジュンとの出会い。第1話で、ジュンの「父とキャッチボールがしたい」という願いを叶えるために、ユーリは自分の寿命800年を支払います。残りは約100年。死神としては「破産」寸前です。

それでも彼女は言います。「長さなんてどうでもいいんです。大事なのは中身ですよ」——ジュンの生き方が、死神に移ったのです。

ディーテ — 「最も望む形の死」を届ける死神

第8話で登場するお姉さん系の死神・ディーテ。彼女の信条はこうです。「その人が最も望む形で死を迎えさせてあげるのが私の仕事」

余命わずかな青年と1年かけてゆっくり取引を重ね、残された時間を楽しく過ごさせる彼女のやり方は、効率とは正反対。けれど「別れは必ず訪れる。だからこそ出会いをゆっくり噛み締める」と語る彼女は、3人の中で最も成熟した死神なのかもしれません。

そして実は、第1話の裏側にいたのもディーテです。死神が自分の寿命で願いを叶えるには、その寿命を受け取る「別の死神」が必要——ユーリの800年を受け取り、ジュンの願いを発動させたのは、彼女でした。第1話の奇跡は、2人の死神の取引で成立していたのです。

ヘーラ — 「別れがつらいから」効率に逃げた死神

3人目は、ギャル気質の死神・ヘーラ。「どうせ死ぬんだから早い方がいい」「人間との馴れ合いは時間の無駄」と言い放つ、徹底した効率主義者です。

けれど第8話を読んだ方はご存知の通り、富士山の頂上で明かされる彼女の本音は、真逆でした。人と別れるのがつらい。思い出を作っても、すぐに失われてしまうのが耐えられない。だから、心が動く前に取引を終わらせてきた——。

効率主義は、優しさの裏返しだった。死神が写真に写らないと知りながら、彼女が山頂で自撮りをするラストシーン。「記念、だよ」の一言に、このシリーズのすべてが詰まっています。

3人が映し出す、この物語のテーマ

ユーリは「中身」を選び、ディーテは「寄り添う」を選び、ヘーラは「距離を取る」を選んだ。3人の死神の生き方は、そのまま「限りある時間とどう向き合うか」という問いへの、3つの答えになっています。

寿命と引き換えに願いを叶える——という設定は、つまるところ「あなたは残りの時間を何に使いますか?」という問いかけです。死神たちでさえ、その答えを探して迷っている。だからこの物語は、切なくて、優しいのです。

全9話は当サイトで無料公開中。この記事を読んでから第1話を読み返すと、あの何気ないやり取りの裏側が見えてくるはずです。入門編のキャラクター&世界観ガイドもあわせてどうぞ。

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