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『ボツの館』へようこそ — 動画にならなかった物語たちが眠る場所

サルベド漫画 読み物

『ボツの館』へようこそ — 動画にならなかった物語たちが眠る場所

「ボツ」と侮るなかれ

サルベド漫画では、日々たくさんのシナリオが生まれています。そのすべてが動画になるわけではありません。企画との相性、タイミング、尺の問題——さまざまな理由で、日の目を見ずに引き出しへしまわれていく物語たちがある。

『ボツの館』は、そんな作品たちの供養と再生の場所です。

先に言っておきます。「ボツ=つまらない」ではありません。むしろここに並ぶのは、動画という形には収まらなかっただけの、ちゃんと面白い物語たち。ここでしか読めない、もう一つのサルベド漫画です。

ボツ1話:イメチェンしたらモテたけど、幼馴染だけが冷たくなった件

モテない自分を変えるべく、一念発起してイメージチェンジした高校生・朝倉。勉強に運動に髪型改造、涙ぐましい努力の末、狙い通り女子の注目を集めることに成功します。

ところが——ただ一人、いつも隣にいてくれた変わり者のクラスメイト・鎌倉ネムだけが、なぜか急に冷たくなって……。

壁にぶつかりながら本を運ぶ天然少女・ネムと、鈍感すぎる朝倉の、じれったさ全開の青春ラブコメ。「モテたい」の先にあるものに朝倉が気づくラストは、王道だからこそ気持ちいい。読後、思わずニヤけてしまう一編です。

ボツ2話:言葉のない場所

耳の聞こえない幼馴染・マリナと、人の顔色を読むのが得意なミキヤ。言葉を使わなくても通じ合える二人の関係は、ミキヤにとって「一番嘘のない場所」でした。

でもある日、ミキヤは気づいてしまいます。ずっと「察してあげている」つもりだったのは自分の方で——本当に相手の顔色を読み、気を使い続けていたのは、マリナの方だったのかもしれない、と。

3話の中では最も静かで、最も切ない物語。言葉のいらない関係の尊さと危うさを描いて、ラストシーンはセリフのないまま、まっすぐ心に届きます。タイトルの意味が反転する瞬間が、この作品の白眉です。

ボツ3話:棺のノッチ(作:青春詭弁)

「悪魔を倒して村を守る!」と意気込んで、スコップ片手に山奥へ乗り込んだ村人の少年・ノッチ。ところが祭壇で目覚めた悪魔・サタナシスは、白髪の美人なのに「私、二度寝したいから静かにしてくれ」と眠そうで、まるで戦う気なし。

倒しに来たはずが、なぜか毎日ごはんを運ぶ係になり、気づけば「あーん」までしてやる始末。半年通ううちに芽生えた奇妙な友情——そこへ、棺桶を引きずる謎のシスターが現れて、物語は一気に動き出します。

ボケとツッコミの応酬で笑わせながら、「悪魔とは何か」「代償とは何か」という骨太な設定がじわじわ効いてくる、冒険ファンタジーの快作。3話の中では最長の大ボリュームで、読み応えたっぷり。ラストの「代償」のオチは、ぜひ自分の目で確かめてください。脱力すること請け合いです。

おわりに — ボツにもドラマがある

笑えるラブコメ、静かな純愛、痛快ファンタジー。3話それぞれ味は違いますが、共通しているのは「動画になれたかどうか」と「面白いかどうか」は別の話だ、ということ。

『ボツの館』は今後も、引き出しの奥で眠っていた物語たちを少しずつ公開していく予定です。動画とはひと味違うサルベド漫画を、ゆっくり文字で味わってください。

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